万葉集 巻一 72

玉藻刈る 沖辺は漕がじ しきたへの 枕のあたり 忘れかねつも
たまもかる おきへはこがじ しきたえの まくらのあたり わすれかねつも

<私が考えた歌の意味>
舟遊びをしないでおこう。
妻のことばかり思い出されるので。

<私の想像を加えた歌の意味>
みんなは今日も舟遊びに興じ、沖へと漕ぎだしていく。
私は、舟遊びに行く気にもなれない。
留守にしている家のことが気にかかるからだ。
とりわけ、妻と睦まじくしたことばかりに思いがいく。

<歌の感想>
 四区目は家の妻のことを指しているという解釈に沿って歌意を考えた。家の妻ではなく、旅先での女性とする解釈もある。
 家の妻のことを恋しく思っている気持ちを表した類型的な作のひとつのように感じる。