万葉集 巻一 63 山上憶良

いざ子ども 早く大和へ 大伴の 御津の浜松 待ち恋ひぬらむ
いざこども はやくやまとへ おおともの みつのはままつ まちこいぬらん

<私が考えた歌の意味>
さあ、皆の者、早く大和へ帰ろうではないか。
大伴の御津の浜松が、私たちの帰りを待ちわびているでしょうから。

<私の想像を加えた歌の意味>
いよいよ大和へ戻る日がきました。
遣唐使としての任務も果たせました。
今は、大和へ無事に戻ることが使命です。
大伴の御津の浜を思い出します。
浜の松の「まつ」の言葉通り、大和では我々の帰還を多くの人々が「待ち」わびていることでしょう。
さあ、みなさん、いよいよ帰還の船出です。

<歌の感想>
 山上憶良の長歌と短歌には、人々を前にした挨拶や演説の要素を感じる。この短歌も、遣唐使の一団を前にして、旅の一行の責任者として、出発の言葉を述べている様子が思い浮かぶ。
 決まりきった挨拶の言葉ではなく、この歌が朗詠されたら、聴いている人々は拍手喝采であったことだろう。