石川啄木『一握の砂』「我を愛する歌」 より

ただひとり泣かまほしさに
来て寝たる
宿屋の夜具のこころよきかな

<私が考えた歌の意味>
一人になって泣きたいだけだ。
そのために旅に出て、この宿で寝る。
一人で寝る宿の夜具が心地よい。

<私の想像を加えた歌の意味>
以前から一人になって泣きたかった。
思い切って、そのためにだけ旅に出た。
どうということもない安宿に泊まった。
夜具もごく普通のものだった。
布団に入ると、誰も部屋に来る気遣いもなく、独りになれた気がする。
こうして独りで寝る心地よさをしみじみと感じる。
思いっきり、泣ける。