万葉集 巻一 60

宵に逢ひて 朝面なみ 名張にか 日長き妹が 庵せりけむ
よいにあいて あしたおもなみ なばりにか けながきいもが いおりせりけん 

<私が考えた歌の意味>
妻が旅に出てから、もうずいぶんと日数が経った。
旅先の妻は、今頃は名張の辺りで仮の小屋に泊まっていることだろう。
その「名張」は、一夜を共に過ごした女性が朝には恥ずかしがって隠れるように振舞うこと、すなわち「なばる」に通じている。

<私の想像を加えた歌の意味>
今頃、妻は名張の辺りに泊まることだろう。
名張という地名を聞くと、一緒に寝た女性が朝は恥ずかしがって隠れること「なばる」を連想する。
旅に出ている妻も、朝に恥ずかしがる様子を見せていたものだ。
妻が旅に出てから、日にちが過ぎれば過ぎるほど逢いたい思いが強くなる。

<歌の感想>
 妻を恋しく思っている気持ちを想像してみたが、地名の由来や地名から連想できることに興味があるだけかもしれない。行幸に伴う短歌で、地名をいかに詠み込むかは、重要なことであったと感じる。