万葉集 巻一 56

河上の つらつら椿 つらつらに 見れども飽かず 巨勢の春野は
かわのえの つらつらつばき つらつらに みれどもあかず こせのはるのは

<私が考えた歌の意味>
川の岸辺に椿の花が幾重にも重なって咲き誇っている。
幾度見ても飽きることなどない見事さだ。
椿が咲き誇るここ巨勢の春の野は。

<歌の感想>
 見たままの景色を描いているというよりは、54の歌と同様に、音の重なりを楽しんでいることを感じる。54と56は、関連している。そのどちらが、先行した作なのかということは、専門家の考察に頼るしかない。
 どちらが先に作られた(本歌)としても、万葉人が、音のおもしろさと短歌相互の関連付けを楽しんでいることは、はっきりと感じ取れる。