石川啄木『一握の砂』「我を愛する歌」 より

こそこその話がやがて高くなり
ピストル鳴りて
人生終る

<私の想像を加えた歌の意味>
小声の言い争い声がだんだん高くなる。
その声をかき消してピストルの音が響く。
一人の人生が終わる。

<歌の感想>
 この歌の意味が分からない。
 映画や舞台の一場面を観て、そこに自分の思いを重ねているとも受け取れる。啄木自身が誰かと言い争いをしていて、あまりにもクドクドと言われたので、相手を撃ち殺すことを夢想したとも受け取れる。あるいは、言い争いなどではなく、人生のつまらなさに辟易し、ピストルの一発でそれを終わりにすることを夢想しているとも受け取れる。
 ピストルで、自らの人生を終わりにしたい気持ちを描いている、とするのがよいように思えるが、どうであろうか。