石川啄木『一握の砂』「我を愛する歌」 より

尋常のおどけならむや
ナイフ持ち死ぬまねをする
その顔その顔

<私の想像を加えた歌の意味>
ナイフを持って自分を刺す。
それは真似でしかない。
刺す真似をしている自分の顔をまじまじと見る。
死ぬ真似をしている私の顔は、真剣で、悲しく、まぬけてもいる。
こんな顔をしているのは、普通におどけているだけと思ってよいのか。