石川啄木『一握の砂』「我を愛する歌」 より

ことさらに燈火(ともしび)を消して
まぢまぢと思ひてゐしは
わけもなきこと

<私の想像を加えた歌の意味>
いつもはそんなことをしないのに、部屋の明かりを消している。
その暗い部屋で、あることを思い詰めている。
思い続けていながら、ふっと気づいた。
どうでもいいようなことを思い詰めていたのだと。

<歌の感想>
 解決せねばならない何か思い悩むことがあり、悩み続けているかと思いきや、啄木はそんな自分の心を客観視している。
 短歌に詠まれている自己を、詠んでいる自己が見つめている。