万葉集 巻一 46 柿本人麻呂

安騎の野に 宿る旅人 うちなびき いも寝らめやも 古思ふに
あきののに やどるたびびと うちなびき いもねらめやも いにしえおもうに

<私が考えた歌の意味>
狩りにきた皇子様の一行が安騎の野を一夜の宿とされる。
この安騎の野は、今は亡きあの方々がお泊まりになった地だ。
きっと、皇子様一行は、ゆっくりと寝ることもできないだろう。
昔の方々のことを思い出してしまって。

<歌の感想>
 実際には、旅の一行は、宿営地を作り、疲れた体を休めるので、眠れないことなどないと思う。
 しかし、人麻呂は、安騎の野に来れば、その地にまつわる昔のことをたちまち思い出し、思い出すだけでなく、過去の世界を現在につないでみせた。そして、その人麻呂の思いに、他の人々(旅人)も大いに共感していると想像できる。