石川啄木『一握の砂』「我を愛する歌」 より

大木(たいぼく)の幹に耳あて
小半日(こはんにち)
堅き皮をばむしりてありき

<私の想像を加えた歌の意味>
大木を見上げる。
大木に触ってみる。
大木の幹に耳を当ててみる。
何も聞こえない。
いや、かすかにかすかに何か聞こえる。
大木の幹は堅い樹皮で覆われている。
堅いその皮をむしってみた。
ポロポロと乾いた皮がむけ落ちる。
大木のそばでもう半日近くも過ごしている。

<歌の感想>
 啄木は意味も目的もないことをやり続ける。蟹とたわむれる。砂山の砂を掘る。砂浜の砂を握りしめる。愛犬の耳を斬る。大木の皮をむしる。
 振り返れば、私も意味も目的もないことをやり続けている。