万葉集 巻一 6  5の反歌

山越しの 風を時じみ 寝る夜落ちず 家なる妹を かけて偲ばゆ
やまごしの かぜをときじみ ぬるよおちず いえなるいもを かけてしぬばゆ


<口語訳>日本古典文学全集 万葉集 小学館より引用
山を越えて来る 風が絶え間もないので 毎晩いつも 家にいる妻を 心にかけて思った

<私が考えた歌の意味>
山を越えて吹きおろして来る風は止むことがない。
その風と同じく止むことなく夜ごとに家にいる妻のことを心の内で恋い慕っている。

<私の想像を加えた歌の意味>
夜になるとどうしても妻のことばかり思ってしまう。
言葉には出さないが、心は妻のことでいっぱいになる。
旅先のこの山から故郷の方角へ吹く風は止むことがない。
家にいる妻を思う気持ちも止むことがない。

<歌の感想>
 行幸の地では、生活は不自由であり家との通信手段はない。天皇に付き従っているとはいえ、家へ帰りたい、妻と夜を過ごしたいという作者の思いは強い。
 旅先、赴任先で、故郷の恋人や妻を恋しく思う気持ちは共感を得るものだったろう。長歌、短歌の題材として最もふさわしいものの一つであったと言えそうだ。