万葉集 巻一 4

たまきはる 宇智の大野に 馬並めて 朝踏ますらむ その草深野
たまきわる うじのおおのに うまなめて あさふますらん そのくさふかの

<口語訳>口訳萬葉集 折口信夫より引用
宇智の地の広い原に、馬を並べて、朝歩きまわっていられることであろう。あの草の深い野を。

<私の想像を加えた歌の意味>
広く美しい宇智の大野を、たくさんの馬を並べて天皇と配下の者たちが出立する。
すがすがしい朝の空気の中、いさましく馬を進める。
広く草深い野を踏み分けて進む馬上の天皇はすばらしい。

<歌の感想>
折口信夫は、次のように解説している。

一糸乱れぬ修辞は、感嘆すべきことである。ただし、既に漢文脈を引いたような、変化に乏しい、という難はのがれない。

 この解説が分かりやすい。3の長歌と4の反歌は、歌に求められていること、歌の役目がはっきりしているのだ。そこには、作者が見て感動した風物と作者の心情を表現することは求められていない。そのかわり、歌に求められた天皇のすばらしさを表現するというねらいは、見事になされていると感じる。、