山家集 上巻 春 34 7013

片岡に しば移りして なく雉子 たつ羽音とて たかからぬかは
かたおかに しばうつりして なくきぎす たつはおととて たかからぬかは

<口語訳>
岡の斜面をあちこちへ飛び回り雉が鳴いている。雉の羽の音だから高くないわけがない。

<意訳>
岡の斜面を雉が飛び回り、鳴いている。
雉の羽音が高くないということはない。
春の野をあちこちへ飛び回りながらの雉の羽音が高く聞こえているだろう。

<意訳2>
ずうっと気になっているが、雉の泣き声を聞いただけで、野原に行く機会がない。
野原は一段と春めいてきているだろう。
その野原で、雉が羽の音も高らかに飛び回っているだろう。
出かけて行って、それを見たいものだが、今日も庵で過ごすしかなかった。