巻五 801
ひさかたの 天路は遠し なほなほに 家に帰りて 業をしまさに
ひさかたの あまじはとおし なおなおに いえにかえりて なりをしまさに
<口語訳>
新日本古典文学大系 萬葉集一 岩波書店 より引用
(ひさかたの)天に到る道は遠い。素直に家に帰って仕事をしなさいな。
<意訳>
聖人や仙人になろうとしてもそんなことはやすやすとできるものではないよ。
そんな叶わない夢は捨てて、家に戻りなさい。
家に戻って、仕事をし、親と妻子をしっかりと養いなさい。
800と801は、道徳を説くというよりは、標語やスローガンのように感じる。思えば、現代でも五音七音の組み合わせは、標語に使われ続けている。交通安全標語もあれば、CMのキャッチコピーにもある。
また、地味な存在だが、各宗派の仏教寺院と神社で配布する日めくりなどには、人の道を説いた短歌が使われている。ある年代層には、このような短歌の影響が相当にあるのではないかと思われる。
最新の設備を誇るビルのトイレで目にしたことがある。トイレのマナーが五七五七七でプリントされ、掲示されていた。日本人は、このリズムからは離れられないのだ。
長歌と短歌に、標語やスローガンの働きをもたせ、その代表的な作者が山上憶良だと考えると、おもしろい。
ひさかたの 天路は遠し なほなほに 家に帰りて 業をしまさに
ひさかたの あまじはとおし なおなおに いえにかえりて なりをしまさに
<口語訳>
新日本古典文学大系 萬葉集一 岩波書店 より引用
(ひさかたの)天に到る道は遠い。素直に家に帰って仕事をしなさいな。
<意訳>
聖人や仙人になろうとしてもそんなことはやすやすとできるものではないよ。
そんな叶わない夢は捨てて、家に戻りなさい。
家に戻って、仕事をし、親と妻子をしっかりと養いなさい。
800と801は、道徳を説くというよりは、標語やスローガンのように感じる。思えば、現代でも五音七音の組み合わせは、標語に使われ続けている。交通安全標語もあれば、CMのキャッチコピーにもある。
また、地味な存在だが、各宗派の仏教寺院と神社で配布する日めくりなどには、人の道を説いた短歌が使われている。ある年代層には、このような短歌の影響が相当にあるのではないかと思われる。
最新の設備を誇るビルのトイレで目にしたことがある。トイレのマナーが五七五七七でプリントされ、掲示されていた。日本人は、このリズムからは離れられないのだ。
長歌と短歌に、標語やスローガンの働きをもたせ、その代表的な作者が山上憶良だと考えると、おもしろい。