万葉集のかたわらにキーボード

記事は、原文に忠実な現代語訳や学問的な解釈ではありません。私なりにとらえた歌の意味や、歌から思い浮かぶことを書いています。

巻五 801ひさかたの 天路は遠し なほなほに 家に帰りて 業をしまさにひさかたの あまじはとおし なおなおに いえにかえりて なりをしまさに<口語訳>新日本古典文学大系 萬葉集一 岩波書店 より引用(ひさかたの)天に到る道は遠い。素直に家に帰って仕事をしな…
>>続きを読む

巻五 800父母を 見れば尊し 妻子見れば めぐし愛しちちははを みればたっとし めこみれば めぐしうつくし世の中は かくぞことわり もち鳥の かからはしもよ よのなかは かくぞことわり もちどりの かからわしもよ 行くへ知らねば うけ沓を 脱ぎつるごとく 
>>続きを読む

巻五 797大野山 霞立ちわたる 我が嘆く おきその風に 霧立ちわたるおおのやま かすみたちわたる わがなげく おきそのかぜに きりたちわたる<口語訳>新日本古典文学大系 萬葉集一 岩波書店 より引用大野山に霧が一面に立ちこめる。私が嘆くため息の風によって霧
>>続きを読む

巻五 798妹が見し 楝の花は 散りぬべし 我が泣く涙 いまだ干なくにいもがみし おうちのはなは ちりぬべし わがなくなみだ いまだひなくに<口語訳>妻が見た楝の花はもう散るであろう。亡くなった妻を思い出して泣く私の涙は、まだまだ乾くことはないのに。<意訳>
>>続きを読む

 「挽歌」に注目したことはなかった。万葉集の分類としても、一般なジャンルとしても、意識して読んだことはない。 最近、万葉集巻五と石川啄木『一握の砂』を読んでいる。 万葉集巻五の部立ては雑歌であるが、793~799までは内容からすると挽歌だ。 『一握の砂』の成立
>>続きを読む

石川啄木『一握の砂』「我を愛する歌」 よりひと夜さに嵐来たりて築きたるこの砂山は何の墓ぞも<口語訳>一夜の嵐が築いたこの砂山は、いったい何の墓なのか。<意訳>一夜の嵐で砂山が築かれていた。砂山が墓に見える。この砂山は、いったい何の墓なのか。 愛する人を亡
>>続きを読む

石川啄木『一握の砂』「我を愛する歌」 よりいたく錆びしピストル出でぬ砂山の砂を指もて掘りてありしに<口語訳>錆びついたピストルが出てきた。砂山の砂を指で掘っていると、そこにあったのだ。<意訳>海に一人で来た。何をしに来たというのでもない。砂山の砂を意味も
>>続きを読む

石川啄木『一握の砂』「我を愛する歌」 より大海にむかひて一人七八日泣きなむとすと家を出でにき<私が考えた歌の意味>一人だけで大海に向かって泣く。そんな日を七日、八日と過ごしている。今日もまた、海に行き、泣こうと家を出た。<私の想像を加えた歌の意味>海に向
>>続きを読む

『一握の砂』 「我を愛する歌」  東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる<口語訳>東海の小島の磯の白い砂浜に来た。誰もいないこの浜辺に独りいる。涙が流れる。涙を拭うこともせず、蟹と遊ぶ。<意訳>この白い砂浜には誰もいない。私だけだ。磯の陰から蟹
>>続きを読む

巻五 797悔しかも かく知らませば あをによし 国内ことごと 見せましものをくやしかも かくしらませば あおによし くぬちことごと みせましものを<意訳>こんなことになるのなら、せめてせめて一緒に国中を旅すればよかった。口語訳は、新日本古典文学大系 萬葉集
>>続きを読む

巻五 796はしきよし かくのみからに 慕ひ来し 妹が心の すべもすべなきはしきよし かくのみからに したいこし いもがこころの すべもすべなき<口語訳>こんなことになってしまうとは。私を慕って来た妻の気持ちを思うと、何を思い何をしても気持ちが安らぐことがな
>>続きを読む

巻五 795反歌家に行きて いかにか我がせむ 枕づく つま屋さぶしく 思ほゆべしもいえにいきて いかにあがせん まくらづく つまやさぶしく おもおゆべしも<口語訳>妻を葬って、家に戻って私は何をすればいいのだろう。妻をしのぶもののなくなってしまった寝室に戻っ
>>続きを読む

巻五 794日本挽歌一首にっぽんばんか大君の 遠の朝廷と しらぬひ 筑紫の国に おおきみの とおのみかどと しらぬい つくしのくにに 泣く子なす 慕ひ来まして 息だにも いまだ休めず  なくこなす したいきまして いきだにも いまだやすめず 年月も いまだあ
>>続きを読む

  太宰帥大伴卿の、凶問に報へし歌一首禍故重畳し、凶問塁集す。永く崩心の悲しびを懐き、独り断腸の涙を流す。但両君の大助に依りて、傾命わづかに継ぐのみ。筆は言を尽くさず。古今に嘆く所なり。 大伴の旅人が知人の死を知らせる手紙に答えた歌一首不幸が続き、親しい
>>続きを読む

『みだれ髪』 臙脂紫その子二十歳櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな<口語訳>その娘は二十歳。櫛けずる黒髪は艶やかで、美しい。惜しげもなく、命の輝きを放っている。<意訳>私は今二十歳。人生の春、生命が輝いている。櫛けずる黒髪は、美しさにあふれる。
>>続きを読む

『みだれ髪』 臙脂紫椿それも梅もさなりき白かりきわが罪問はぬ色桃に見る<口語訳>椿の色も好きだけれど、梅の色も好きだけれど、なんとなくその白がしっくりこない。私の心の罪を責めない色は、桃の色だけ。<意訳>椿の白も、梅の白も、けがれがなくてわたしの心の罪を
>>続きを読む

みだれ髪 臙脂紫髪五尺ときなば水にやはらかき少女ごころは秘めて放たじ<口語訳>五尺の髪を解くと水に柔らかく広がる。少女の心も開放すると、解いた髪のようになるでしょう。でも、少女の心は解き放つことはありません。<意訳>結っている長い髪を解いて湯に入ると、柔
>>続きを読む