万葉集のかたわらにキーボード

万葉集を中心に、古典から近代まで和歌、短歌を気の向くままに読んでいます。記事は、原文に忠実な現代語訳や学問的な解釈ではありません。私なりにとらえた歌の意味や、歌から思い浮かぶことを書いています。

『みだれ髪』 臙脂紫椿それも梅もさなりき白かりきわが罪問はぬ色桃に見る<口語訳>椿の色も好きだけれど、梅の色も好きだけれど、なんとなくその白がしっくりこない。私の心の罪を責めない色は、桃の色だけ。<意訳>椿の白も、梅の白も、けがれがなくてわたしの心の罪を…
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みだれ髪 臙脂紫髪五尺ときなば水にやはらかき少女ごころは秘めて放たじ<口語訳>五尺の髪を解くと水に柔らかく広がる。少女の心も開放すると、解いた髪のようになるでしょう。でも、少女の心は解き放つことはありません。<意訳>結っている長い髪を解いて湯に入ると、柔
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『みだれ髪』 臙脂紫歌にきけな誰れ野の花に紅き否むおもむきあるかな春罪もつ子<口語訳>歌の世界に尋ねてみましょう。野の花に紅い花はいやだという人がいるのかを。それは人生の春に罪なことに心を動かす娘をいやだというのと同じではありませんか。<意訳>詩の中で、
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 鶯を題材にした西行の和歌を読み、万葉集での鶯の歌を何首か探してみた。近代ではどうかと思い、『みだれ髪』を初めて開いた。 驚いた。 何首読んでも、すんなりと理解できる作品がないのだ。記事で取り上げた作はまれなわかる作品だった。 『赤光』と『一握の砂』は、
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みだれ髪 臙脂紫 与謝野晶子夜の帳にさざめき尽きし星々の今を下界の人の鬢のほつれよ<口語訳>夜のとばりにつつまれてささやき尽くした星々の今この時を、下界では人の髪のほつれが。<意訳>天空では星々が夜のとばりにつつまれて思う存分ささやき合っている。下界では
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みだれ髪 蓮の花船 与謝野晶子鶯に朝寒からぬ京の山おち椿ふむ人むつまじき<私の想像を加えた歌の意味>鶯の鳴き声が京の山に聞こえている。早朝の山なのに寒さはなく、春の朝だ。椿の花が散った山路が続く。その散った椿を踏み二人連れが歩いてくる。二人は夫婦だろうか
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山家集 30 7010春のほどは 我がすむ庵の 友に成りて 古巣な出でそ 谷の鶯<口語訳>谷の鶯よ、春のうちはこの谷の古巣を出ないでくださいよ。私が住む庵のそばに、友としていてくださいね。<意訳>春になり鶯もしきりに鳴いているのに、私の庵には訪れる人もいない。
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山家集 27 7007すみける谷に、鶯の聲せずなりければ古巣うとく 谷の鶯 なりければ 我やかはりて なかんとすらん<口語訳>谷の鶯が古巣に戻ることがなくなったら、この谷では鶯の声が聞こえなくなるだろう。そうなったら私が鶯に代って泣くようになるだろう。<意訳>
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巻五 841鶯の 聲聞くなべに 梅の花 吾家の園に 咲きて散る見ゆ<口語訳>鶯の鳴く声を聞きながら、我が庭に梅の花が咲いて散っていくのを見る。<意訳>鶯の鳴き声の聞こえる春。我が家の庭に、梅の花が咲き、そして、散っていく。鶯を聞き、梅を眺めて春の日を過ごす。
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巻五 842わが宿の 梅の下枝に 遊びつつ 鶯鳴くも 散らまく惜しみ<口語訳>私の家の庭の梅の下枝で鶯が遊びながら鳴いている。鶯も梅の花が散るのを惜しんで鳴いている。<意訳>我が家の庭に、梅の花が散っていく。梅の木の低い枝に、鶯が降りてきた。鶯は枝の上で遊び
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824梅の花 散らまく惜しみ わが園の 竹の林に  鶯鳴くも<口語訳>梅の花が散るのを惜しんで、私の庭園の竹の林で鶯が鳴いている。<意訳>もう梅の花が散っていく。咲くのを待ちわびていた梅の花が。私の庭の竹の林から鶯の鳴き声が聞こえてくる。鶯のこの鳴き声は、梅
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山家集 26   7006鶯の 春さめざめと なきゐたる 竹のしづくや なみだなるらん<口語訳>鶯が春雨の中でさめざめと鳴いている。春雨に濡れる竹の滴は、鶯の涙であろう。<意訳>春雨が滴となって竹を濡らしている。鶯の鳴き声が、春雨の中で、聞こえてくる。この竹の滴
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山家集 25 7005閑中鶯鶯の こゑぞ霞に 洩れてくる 人めともしき 春の山ざと<口語訳>鶯の声だけが霞の中から洩れてくる。人の行き来もまれな春の山里。<意訳>春の山里は人の行き来もなく、春霞がかかっている。柔らかな霞の景色の中で、鶯の鳴き声だけが聞こえてき
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石川啄木『一握の砂』「我を愛する歌」 よりこころよく我にはたらく仕事あれそれを仕遂げて死なむと思ふ<口語訳>こころよく働く仕事が私にあってほしいその仕事を成し遂げてから死にたいと思う<意訳>職に就いて稼げと皆が言う。私も仕事を見つけて、命をかけてその仕事
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石川啄木『一握の砂』「我を愛する歌」 よりいと暗き穴に心を吸はれゆくごとく思ひてつかれて眠る<口語訳>非常に暗い穴に心を吸われるような思いがして疲れて眠ってしまう<意訳>身も心も重く疲れた。どこまでも暗い穴に心が吸い込まれていく。暗く深く落下しながら今日
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石川啄木『一握の砂』「我を愛する歌」 より※前回の記事に書き加えた。何処(いづく)やらかすかに虫のなくごときこころ細さを今日もおぼゆる<口語訳>どこかでかすかに虫の泣くような心細さを今日も感じる<意訳>わけもなく不安につつまれる。どこかでかすかに虫が鳴い
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218楽浪の 志賀津の児らが 罷り道の 川瀨の道を 見ればさぶしもささなみの しがつのこらが まかりじの かわせのみちを みればさぶしもこの川沿いの道は、采女(うねめ)の葬列が通った道だ。あまりにも若く、あまりにも突然の死だった。川沿いの道を見るだけで、胸が
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